MAGAZINE INDEX
出張で宿泊したホテルや、日々の拘りなど徒然に。
№20
日光金谷ホテル オレンジスイート
小山薫堂プロデュース
「泊まるだけで元気になれるビタミンホテル」
東京に住んでいたころには、よく泊まりがけで日光に出かけた。もちろん日光金谷ホテルにも宿泊したことがある。明治6年開業。我が国におけるリゾートホテルの草分け的存在のクラシックホテル。創業135年になるこの秋、スイートルームの一室がリニューアルされ、9月5日オープンした。リニューアルをプロデュースしたのは小山薫堂氏。インテリアデザインは阿久津雄一郎氏。二人はすでに2003年、同ホテルで「N35ルーム」というHotel in Hotel を誕生させている。今回はその第二弾、「泊まるだけで元気になれるビタミンホテル」をコンセプトに、62平米、禁煙で、ゆったりとした時間を過ごすための様々な工夫がなされているという。
ホテル敷地内の一番奥まった場所にある第二新館1階、「ORANGE SUITE THE VITAMIN HOTEL」のプレートが掲げられたドアを開け、部屋に足を踏み入れると、すっきりと心地よいオレンジの香りに迎えられる。エントランスには3個の渡り石が置かれていて、リビングルームとベッドルームをつないでいる。靴を脱いでリビングルームへ。デスクの上にはアットアロマ社のアロマディフューザー「aromax silent」、ボディーカラーはもちろんオレンジ。
リビングルーム中央に置かれたアンティークのテーブルの上には横長の箱が、MARGARET JOSEFINの「ブレスパレット」のギフトボックス。「印度カリー」のフレーバーなど、ユニークな31種類のフレーバーの歯磨き剤から一人1本を選ぶ。あれこれ迷った末、「虫歯にならないか?」と妙な心配をしながら「白桃」と「ビターチョコレート」を選択。
リビングルームにはソニー製のブルーレイ・シアターシステムが完備、「BRAVIA」の大画面の映像をカッシーナIXC.のふかふかのソファで、ゆったりとくつろぎながら鑑賞できる。ソフトのラインナップは、少々物足りない。せっかくのシステムを十分堪能できて、この部屋にふさわしいものは? 大作映画ばかりでなく、ミュージックやアートなど思いがけない映像作品に出会えたらもっと嬉しい。同じくソニー製のPC「VAIO」は常時接続・24時間無料で使用できるので、とにかく便利。
部屋に置かれたソニー製品で一番気に入ったのがデジタルフォトフレーム「S-Frame」。創業135年の日光金谷ホテルの歴史が、まるで走馬灯のように映し出される。
ブルーレイディスクのラインナップに比べて、リビングルームの本棚に置かれた書籍は「オレンジスイート」のコンセプトであるビタミン補充のラインナップ。手に取れば思わず元気になれる、さまざまなジャンルの書籍が置かれている。
ホテルのリムジンでもある「レンジローバー」の本までラインナップされている。自由気ままが楽しい。
さらに、透明なトランプや部屋で楽しむためのブーメランflokkの「Roomarang」まで置かれている。リビングルームの床にゴロゴロ寝転んで、眺めているだけで元気がもらえる写真集をパラパラめくる。Saxton Freymann / Joost Elffersの「FOOD PLAY」、時間を忘れて楽しめる。
のどが渇いたらティータイム。ティーバッグはアメリカSTASH社の「Orange Spice Black Tea」とノーブランドの「煎茶」。ストロングテイストのオレンジティーは山の新鮮な空気によく合う。
カップ&ソーサーはドイツKAHLA社の「タッチ」。オレンジ色のハンドルがベルベットのような手触りで、楽しい気分。
「ORANGE SUITE」のプレートがはめ込まれたウッディなルームキー。ステーショナリーのカラーもオレンジで統一。
懐かしい「御携帯貴重品御預袋」はあるが、「インルームセーフ」はない。リビングルームとベッドルームはそれぞれ4パターンの調光が可能。
バスルームは独立したシャワールームを有するTOTOのデザインフィロソフィが生かされた、明るく開放的なスペースになっている。「バスタブに浸かりながら窓の外を眺められる」というコンセプトだが、向かいの建物からの視線が、やや気になる。
バスアメニティはTAMANOHADA シリーズ。「TAMANOHADA SOAP」は手のひらにも、心にも、まあるい形。フレッシュなオレンジの香り。ノンシリコンの「TAMANOHADA SHAMPOO & CONDITIONER」はそれぞれ6種類の香りを自由に楽しめる。「消毒済Sanitary」と書かれた薄紙が巻きつけられた歯磨き用コップ。レトロな演出?
池内タオルの世界で最も安全なオーガニックコットン100%のタオル。カシウエアのガウンはポリエステル100%。お風呂上がり用というより防寒用のローブ。柔らかくふかふかで軽い。
「コクーンのような居心地の良いねぐらをイメージした」というベッドルームは、小上がりにスタジオ・アレックスの「琉球畳」が敷かれていて、窓には障子戸、さらに部屋全体がレースカーテンの天蓋に包まれている。
「究極の癒される眠り」のために、いなべの「オリジナル整圧布団」、スイスのヒュスラー・ネスト社「ウッドスプリングマットレス」、キタムラの枕「ジムナスト」が採用。たいへん心地よい。枕元のロングテーブルに置かれたソニー製「有機ELテレビ」。
ドアに表示はないが「オレンジスイート」のルームナンバーは150号室。「昭和の香り」がするデザインの非常灯。
フランク・ロイド・ライトの設計とも伝えられる大谷石造りの暖炉のあるスコティッシュパブ風バー「デイサイト」は本館1階レセプションカウンターの左手。「オレンジスイート」のゲストにはウェルカムドリンクとして、オレンジフレーバーのカクテルがオープン当初から使われ続けてきた貴重なアンティークの「バカラ」(写真左)でサーブされる。
ブレックファストは本館2階、ホテルのメインエントランスの真上に位置する「ダイニングルーム」へ。レトロなサンルームで朝日を浴びながら味わうブレックファストは格別。
最近建てられたり、リノベーションされたホテルはシャープで、とんがった印象の部屋が多いが、実際に過ごしてみると、意外に肩が凝ってくつろげない部屋もある。それらと比べると、靴を脱いで部屋に上がる「オレンジスイート」は和と洋、クラシックとモダンが混在する、ゆったりとくつろげる空間に仕上がっている。
部屋で過ごしているとモダンなホテルに泊まっているようで、一歩部屋を出るとクラシックな老舗ホテルに「迷い込む」という感じの、楽しい場所だ。
(2008年10月宿泊)
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